安いモデルで始めて難しくなったら強いモデルに引き継ぐ仕組みには、隠れた税金がある。引き継いだ側が会話全体を最初から読み直すのだ。プレフィルと呼ばれるこの工程に、長いプロンプトの費用の大半が乗っている。今週になって広く注目されたarXivの論文(2608.03893)で、エヌビディアの研究者は、同じ系列に属するあるモデルの内部キー・バリュー・キャッシュが、通常の線形回帰によって別のモデルのそれに写像できると報告した。勾配降下は使わず、1,024トークンの系列500本という校正データだけで当てはめる。位置符号を外してあるため、どの文脈長でも使い回せる。32,768トークンのキャッシュの移送は278ミリ秒。読み直しはおよそ7秒だった。三つの系列にまたがる六組のモデルで、この写像は読み直しより2.7倍から25倍速かった。正直な部分は結果の側にある。六組のうち四組では受け手のモデル自身の精度の73から98パーセントを保ったが、残る二組は大きく劣化した。