ブラウン大学の経済学教授ロベルト・セラーノは8月10日のNature誌で、厚生経済学と社会的選択理論の講義の中間試験で広範なAI利用の痕跡を見つけた経緯を書いた。この科目を教えて二十年近くになるが、試験を持ち帰り形式にしたのは初めてだった。年の初めに学内で起きた銃撃事件のあと、教室に戻ることをためらう学生がいたためである。彼は論述問題のなかに、白い文字でばかげた指示を埋め込んだ。ページ上では見えないが、学生が設問をコピーしてチャットボットに貼り付ければ一緒に運ばれ、ボットはその指示に従ってしまう。返ってきた成績の平均は96点。過去の年の平均は60点台から80点台で、今回は40人が満点だった。Nature誌でのセラーノの主張は、検出ソフトは答えではなく、大学は求めるものそのものを変えねばならない、というものだ。完成した文書を集める評価ではなく、学生が考える過程を見る評価である。